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 今まで二人で会って話すことといえば音楽の話が中心であまり身の上話などしたことはなかった。「ガキのころからひとりぼっちだったから今度、犬でも飼おうと思うんだ」という詞を見たとき、田野は今まで詳しく聞くことのなかった木田の生い立ち、知られざる一面を垣間見た気がした。  更に二番にはこうあった。  なけなしのゼニにまみれたあの日の夜、俺は生きるためにブタになったのだから。    木田はこれまでどんな人生を送ってきたのだろう。それにしても−−。今の木田は「ブタ」なのか。  田野はこの詞にひと通り目を通すと背骨のあたり震えがきてとまらなかった。頭のなかでは即座に旋律が出来上がった。愛用のギターを引っ張り出すと即興で歌いはじめた。  造りの雑なスタジオの壁の隙間から漏れてくる田野の歌声に驚いた店の従業員たちが奥のほうからのぞき込んでいる。  人を魅了してやまない曲がここに完成した。  歌い終わると田野が言った。 「なあ、この曲、ワシに歌わしてくれへんか。今度、京大の西部講堂でやんねんけど、目玉が欲しかってん。今までの曲だけでもエエけど、ほら、こう、パンチが足りひんやろ。この曲、ワシの作詞ということにして歌わしてくれへんか。なぁ、頼むわ」  田野の申し出に木田は一瞬、ムッとなった。いくら親友といえどムシが良すぎる。木田の表情の変化を見逃さず田野がたたみかけた。「かわりにこのギターやるわ。これ前から自分、ええ言うて、欲しいて言うてたやんか」  ギターと交換?  フェンダーのビンテージと?   木田には俄にこの提案が魅力あるものに思えてきた。思えばここしばらく六弦に触れることさえしていない。夜中に発作のようにギターが弾きたくなったこともある。  ましてや見ず知らずの仲ではない田野からの申し出である。自分にとっても悪くない話であるように思えた。 「ホンマにくれんのか」 「そうや」 「次のライブはどないすんねん」 「まぁ、ボロいので我慢するわ、もう一本持ってるし。それにしてもこの曲、めっちゃええわ」  そこまで褒められると木田も悪い気はしなかった。自分の書いた詞が素晴らしいからこそ田野もそこまで言うのだ。木田はこの申し出を受けることにした。一本のギターと引き換えに−−。  田野はこの曲をあと二三回繰り返し歌い、紙にコードを書き込んだ後、木田にギターを手渡した。  やがて陽が沈もうとする時間になった。夕暮れから本格的に仕事が忙しくなる木田はハードケースにギターを大事そうにしまいこんだ。 「ホナ、ワシ、悪いけど仕事あるから行くわ。次のライブ気張りや」  田野に言い残すと木田はハードケースを大事そうに抱えてスタジオを後にした。 ナットウキナーゼ 小林製薬 blog